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『マネー・ショート 華麗なる大逆転』感想、リーマンショックは起きるべくして起きた!?

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マネー・ショート 華麗なる大逆転
監督:アダム・マッケイ
主演:クリスチャン・ベール

 

<おすすめ度>

3/5

※金融系の映画や実話系が好きな人におすすめ!

 

世界中をどん底に陥れたリーマンショックの裏で、早くからその危機に気づいた業界のアウトロー達が『世紀の逆張り』を仕掛けた実話を基にした話。最初の数分間は聞き馴れない専門用語の解説でしんどくなるかもしれませんが、物語が走り始めてからはノンストップで最後まで痛快に観ることができます。良い意味でハリウッド映画らしく、シリアスな題材でありながらも随所にコメディ要素を散りばめていて、全く金融の知識が無い方にもエンターティメントとして楽しむことができる良作です。当時の金融市場のデタラメさや、マジョリティが必ずしも正しくないことを改めて思い出せてくれます。

 

<以下、ネタバレを含む金融用語の解説>

 

リーマンショックとは?

2008年9月15日に、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻(Bankruptcy of Lehman Brothers)したことに端を発して、続発的に世界的金融危機が発生した事象を総括的によぶ。

 

リーマン・ショック - Wikipedia

 

起きるべくして起きたリーマンショック

 

リーマンショックの引き金になったのはサブプライムローンです。サブプライムローンとは、所得の低い人たちに対する高金利の住宅ローンのことです。当時、アメリカは空前の住宅ローン・バブルでした。住宅ローンの業者は家の欲しい低所得者にたいして、ほとんど無審査でローンを組んでいたのです。その理由は、ローンの債権をリーマンブラザーズをはじめとする投資銀行がこぞって買取っていたからです。住宅ローン業者としては投資銀行が債権を買取ってくれるので、ローンを組ませれば組ませるほど利益が上がっていたのです。そして投資銀行は買取った債権を、リスク分散の為に様々な金融派生商品に組み込んで運用したり売っていました分散された金融商品は、それ単体では見合わないような高いランクに格付けされていました。利回りの良い商品を探してた投資家からすると、高金利なのでリターンの良いサブプライムローンが組み込まれた金融商品は魅力的でした。しかし、住宅ローン業者が債権者の支払能力を審査せずにローンを組んでいるという実態をほとんどの人が知らなかったのです。

 

CDSという世紀の逆張り

CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)といいます。簡単に言うと、ある会社が債務不履行(デフォルト)に陥っても売掛債権を回収出来るように、銀行から購入する保険のような金融商品のことです。購入者は固定金利(保険料)を銀行へ支払う必要がありますが、CDSは証券なので実際に対象の会社に債権を持っていなくても購入できるのが特徴です。つまり、会社が倒産するかしないかに掛けるギャンブルのようなものだとも言えます。勿論、本作の主人公たちはサブプライムローンで市場が崩壊するという確信があって様々な銀行からCDSを買い漁ったわけです。市場が崩壊するとは思っていない銀行からすれば、ノーリスクで保険料が入ってくると思っていたわけですから・・・。

 

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